終活で考える不動産のこと

「終活」という言葉が普及して、多くの人が人生の終わりに向けて準備を始めています。
その中でも特に重要なのが「不動産の終活」です。
不動産は資産価値が大きく、相続や売却の手続きが複雑になることが多いため、早めに対策を講じておくことが大切です。
終活で不動産のことをどう考えていくか、ポイントを詳しく解説します。
不動産の現状を把握する
終活で不動産について考える第一歩は、所有している不動産の状況を把握することです。
登記事項証明書(登記簿謄本)などの書類を集めて準備をします。
確認しておきたいのは次の点です。
不動産の種類
土地、持ち家、賃貸物件など物件ごとに情報を整理します。
不動産の権利と名義人
土地は所有権なのか、借地権なのかを確認します。
また所有が単独なのか共有なのか名義人を確認します。
ローン
物件ごとに住宅ローンや不動産投資ローンが残っていれば、残高を確認します。
抵当権の状況も確認しておきます。
市場価値
売却した場合の価格や賃貸した場合の収益などを調べておきます。
不動産業者などの専門家に査定を依頼することになりますが、
中には査定後にしつこく営業してくる業者もいるので、ある程度の覚悟が必要です。
維持費
固定資産税や管理費、修繕費などをまとめておきます。
このような情報を集める、つまり不動産の「棚卸し」をしておくことで、
今後や相続の方向性を検討することができるようになります。

どうするのかの選択肢
不動産の現状を把握したら、今後のご自身の生活や相続について考え、
不動産をどのようにするのか検討することになります。
例えば、次のような選択肢があります。
住み続ける
自宅にそのまま住み続けるということももちろん選択肢の一つとなります。
ただ高齢になると使い勝手が悪くなることもあるので、
バリアフリー化などのリフォームが必要になるかもしれません。
相続人が引き継いで住む場合には、小規模宅地等の特例という相続税を軽減する制度もあるので、
要件をクリアできるか確認しておくことも大切です。
経済的に不安がある場合は、リースバックを活用することもできます。
リースバックとは、自宅を売却し、売却後はその家を借りて住み続けるという仕組みです。
売却代金を老後資金や介護費用に充てることができます。
一方で、家賃の負担が発生することや、売却する場合に通常の価格よりも安くなってしまうことなどのデメリットもあります。
売却する
子どもたちがそれぞれに家庭を持って、居住する人数が減るなど住居が広くなってしまったり、
階段の上り下りが煩わしくなってしまったりした場合は、
自宅を売却して住み替えるという選択肢もあります。
賃貸物件や収益物件をお持ちの人でも管理が煩わしくなった、
子どもに引き継がせたくないなどの理由から売却を考えることがあるかもしれません。
売却のメリットは、老後資金や介護費用として活用できること、
現金化しておくことで相続の際に分けやすくなること、などがあります。
一方で譲渡税などの費用がかかってしまうことも考慮する必要があります。
賃貸する
ご自宅などを売却して手放すのは惜しいが、使わずにいるのももったいないという場合は、
賃貸物件として活用するという選択肢もあります。
家賃収入が得られるメリットがありますが、管理維持費などの負担も考慮する必要があります。
生前贈与
相続対策という面からは、不動産の生前贈与も選択肢となります。
相続時精算課税制度の非課税枠(2,500万円+年間110万円)を活用することで、
贈与税の負担を軽減できる可能性もあります。
相続への備え
ご家族が不動産を相続する際の備えも大切です。
スムーズに相続人に引き継ぐ対策を講じておくことが有効です。
遺言書をつくる
誰にどの不動産を相続させるのか、遺言書を作成して明確にしておくことで、
相続争いの防止につながります。
できれば事前にご家族に説明して、認識を共有しておくことも有効です。
相続しやすく組み替える
不動産は分割しづらい財産です。
相続で不動産を共有にしてしまうと、管理や売却が難しくなり、後々大きな問題となります。
共有を避けるために、事前に不動産を分けやすく組み替えておくこともできます。
大きな不動産を売却して、例えば複数のマンションにすることや、
近年注目されている不動産の小口化商品を購入することなどが考えられます。
ただし購入時の手数料や取得税などの費用もかかるので、その点も考慮する必要があります。
相続税対策
不動産評価額を把握して、相続税の対策をしておくことも重要です。
その際には小規模宅地等の特例などの軽減制度が活用できるかどうか確認しておくようにします。

終活での不動産対策
終活の大きなテーマとして不動産のことを考えることは、
これからの人生の負担を減らし、安心して老後を過ごすことにつながります。
そして、争いを避ける相続にもつながり、ご家族の負担も減らすことができます。
実は政府もこのようなことに取り組んでいます。
例えば、国土交通省は「住まいのエンディングノート」を作成しています。
とても使いやすいのでおすすめです。
思った時が始める時です。不動産の終活もできるところから始めてみましょう。
<用語>
リースバック 小規模宅地等の特例 相続時精算課税制度 自筆証書遺言 不動産小口化商品