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相続の「設計図」をつくってみる

相続は家族の未来を左右する重要な節目です。
相続では財産の分配や相続税の対応、さまざまな手続きなど「すべきこと」がたくさんある一方で、「対応するための時間は」意外と限られています。
事前の備えが不十分だと、残された家族が思わぬトラブルに巻き込まれることになりかねません。

円満でスムーズな相続のためには事前の準備が大切です。
相続の準備として「相続の設計図」をつくるというテーマで考えていきます。


「相続の設計図」とは

相続の設計図とは、ご自身に万が一のことがあることに備えて、残されたご家族が困ることのないように、わかりやすく計画を立てておくということです。
遺言書を準備するだけではなく、財産の評価や整理、相続税の対策、健康問題への対応などを総合的に考えます。

相続の設計図をつくることで、①財産の分け方が明確になり、遺産争いを防ぐ可能性が高まります。②生前贈与や節税対策を講じて、相続税を軽減することができるかもしれません。③そして、煩雑な相続手続きをスムーズに進めることができます。

「相続の設計図」をつくる

相続の設計図のつくり方です。

 1. 相続人の確定

まずは財産を渡したい人を決めます。法定相続人は誰なのか、それ以外に財産を残したい人はいないかを考えます。

 2. 財産の棚卸し

そして財産の内容とおおよその金額を把握します。
預貯金、不動産、有価証券生命保険、その他の財産、マイナスの財産など項目ごとにチェックします。
財産の正確な価額は、実際の相続の際に確定させることになるので、「設計図」をつくる段階では、おおよその金額で問題ないでしょう。

おおよその金額は、まずは相続税を計算する際の評価額で考えましょう。ただし不動産は時価(売買価格)とは大きく異なるので注意が必要です。

金額の算出方法は次のとおりです。

預貯金

そのままの金額です。

不動産

土地と建物は別々に考えます。

土地は路線価で算出します。路線価×土地面積でおおよその金額となります。
建物は固定資産税評価額がおおよその金額です。

ただしこれらの金額は、時価(売買価格)よりも通常は低くなるようになっています。
相続税の計算ではこの金額でよいのですが、実際の財産分配の際には時価で考えることもあるので注意が必要です。

有価証券

相続が発生した時点で評価額を決めますが、事前に知る概算額はその時点の残高でよいでしょう。

生命保険

死亡保険金の額で考えます。

その他の財産

例えば絵画や骨董品などは専門家(美術商やリサイクル業者など)に評価してもらうとよいです。

マイナスの財産

借入金などの残高となります。

 3. 分け方を決める

財産が把握できたら、誰にどのように分けるかを考えます。

必ずしも法定相続分に縛られる必要はありません。ただし、法定相続分と大きく異なる場合や、一部の相続人に多く渡してしまうなど偏りがある場合は、遺産争いになりやすいので特に注意が必要です。また遺留分についても注意しておく必要があります。

さらに二次相続では相続税の負担が大きくなってしまうことが多いので、二次相続への備えも大切となります。

 4. 家族への説明

相続の方針を決めたら、ご家族の意向を確認しておくことも大切です。

場合によってはご家族で話し合い、それぞれの希望を反映させることも必要になるかもしれません。事前に認識を共有しておくことが、後々のトラブルを防ぐことにつながります。

 5. 伝え方を決める

残されたご家族にどのような形で意思を伝えるかを決めます。

法的に有効な遺言書を作成することが確実です。
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があります。

「公正証書遺言」は法的な有効性が高く、無効になることはまずありません。しかし、原則として公証役場に証人2人とともに出向いて、公証人の前で口授するなど、作成にはかなりの手間がかかります。

自分で作成する「自筆証書遺言」は書きやすく、更新もしやすいのですが、一方で作成にあたっては細かなルールが定められていて、法的に無効になってしまうことがあるので注意が必要です。
例えば、財産目録以外はすべて自分で書かなければならない。日付を正確に書く。開封の前に家庭裁判所の検認が必要、などです。

自筆証書遺言の使い勝手を改善するために、2020年から法務局での保管制度が始まりました。この制度を利用することで、無効になってしまうリスクを大きく減らすことができるようになりました。

 6. 事前の対策

相続の設計図をつくることで、事前にできる対策も見えてきます。

生前贈与

例えば、年間110万円の贈与税の非課税枠を利用して、生前贈与をすることです。相続税の軽減に役立ちます。

不動産

不動産は分けることが難しいことや、現金化に時間にかかるなどの特徴があります。
うまく分割できないことから、相続で共有にしてしまうと、後々トラブルの要因となります。
また、相続発生後に売却しようとしても時間がかかってしまい、相続税の納税資金が不足したり、他の相続人への代償金の支払いができなかったりといった問題も生じかねません。

そこで、例えば分割をスムーズにするため、事前に分けやすい不動産に組み替えることも有効な対策となります。
また、相続税の負担を軽減するために、小規模宅地等の特例を利用できるようにしておくことや賃貸不動産として活用することなども事前にできる対策です。

小規模宅地等の特例は、ご自分の自宅用地(330㎡まで)の評価額を8割引きできる制度です。ただし、適用にあたっては要件が細かく定められていますので注意が必要です。

賃貸不動産については、相続税の計算をする際に評価額を低くできるようになっています。これは自分で使用している財産ではないため、自由に使えないからという状況を考慮しています。

相続財産の中でも大きな割合を占める不動産については、事前にできる対策をしておくことが、円滑な相続の重要なポイントとなります。

 7. 健康問題への備え

相続の設計図をつくる際に、健康問題、特に認知症の対策を考えておくことが大切です。
認知症になると、契約行為ができなくなってしまうので、不動産の売却や組み替えなどもできなくなってしまいます。

任意後見制度」や「家族信託」の活用で財産管理や運用ができるようになります。相続の準備を進めるなかでの重要なポイントの一つです。

よりよい「相続の設計図」のために

事前の準備をしておくことで、相続自体が大きく変わってきます。残されたご家族が困ることのないように、トラブルに巻き込まれることがないように、備えておくことが大切です。

まさにそのために、相続の設計図をつくることが重要と言えそうです。


また、そのためには専門家に相談することが大切となります。とは言っても、専門家も税理士や弁護士、司法書士などさまざまです。そうした専門家にそれぞれ相談していたら、意見が別れなかなか話しが進まないということ起こりそうです。

例えば、ヴェルダントでは一つの窓口で、相続対策を総合的にプロデュースすることができます。

まずはご相談いただき、全体的な対策を考えたうえで、必要な場面で専門家につなぎます。そのような形で相続の設計図をつくってみてはいかがでしょうか。

<用語>

自筆証書遺言 小規模宅地等の特例 任意後見制度 家族信託

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