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不動産相続で「遺留分」をどうするか

ご自身が持つ不動産を次の世代へどのように引き継ぐか。
これは相続の準備を進めるうえでとても大きなテーマです。

不動産は「分割が難しい資産」なので、一つ間違えると相続トラブル、いわゆる「争続」の火種になりかねません。
その中でも注意すべきポイントが「遺留分(いりゅうぶん)」です。

遺留分を考慮しないで遺言をしてしまうと、相続の発生後に相続人同士でもめてしまい結局、訴訟になってしまったり、相続人が資産の一部を手放さなければならない事態に発展することもあります。

今回は、不動産相続で「遺留分」をどうしたらいいのか、具体的な対策について解説します。


「遺留分」については、前回のコラム記事で詳しく書きましたので、ご参照ください。
   →「遺言書で気をつけたい『遺留分』」

遺留分はいわば「法律で守られた最低限の遺産の取り分」ということになります。
今回は、不動産相続の中での遺留分の対策について考えていきます。

不動産相続でのリスク

不動産は分割しにくい資産すぐには現金化できない資産という特徴があります。
現金や預貯金を相続したのであれば、他の相続人から遺留分を請求されたとしても支払うことが比較的容易にできるかもしれません。
一方、分割しにくい不動産を相続した場合、遺留分の請求にどのように対応するかが問題となります。

かつてよくあったのが、長男が跡取りとして親の不動産をすべて相続するというケースです。
長男に兄弟姉妹がいると、長男がその兄弟姉妹から遺留分を請求されるということになります。遺留分は代償金として現金で支払うのが原則ですが、手持ちの現金や預貯金がない場合、不動産を売却して現金化しなければ支払えないという事態に陥ることがありました。

遺留分トラブルを避ける対策

相続人がもめないように、不動産相続では遺留分への配慮が特に大切です。
主な3つの対策があります。

対策① 遺留分に配慮した遺言

ご自身の意思を相続人など残される家族へ伝える手段として遺言は重要な手段です。
遺言書を作成する際は、遺留分に考慮して「遺留分侵害額請求」が発生しないことをまずは心がけます。
それでも遺留分の侵害が発生しそうな分け方となる場合には、不動産で多くの遺産を相続する相続人が代償金を支払えるような対策(現金・預貯金も相続させるなど)を講じた遺言をすることが大切です。

対策② 生命保険で現金を準備

生命保険を活用して、不動産で多くを相続する相続人など遺留分への支払いが必要になりそうな人に現金を残す方法があります。
被相続人=被保険者、現金を残したい相続人=受取人という生命保険を契約します。
死亡保険金は相続財産とみなされず、スムーズに現金を渡せるメリットがあります。

また、生命保険金は相続税の負担を軽減する効果もあります。
「500万円×法定相続人の数」が相続税の非課税枠です。

対策③ 不動産を組み替える

そのままでは分割しにくい不動産を、分割しやすい不動産資産に組み替える対策もあります。
例えば、所有している不動産のうち相続で分割しづらいものを売却して、不動産小口化商品や別の複数の不動産を購入し、分けやすくしておくことができます。

相続対策に活用できる不動産小口化商品については、こちらのコラム記事をご参照ください。
   →「『不動産小口化商品』の相続リスク」

ただし、不動産の組み替えには余分なコスト(取得税・登記料・手数料など)もかかるので、それも含めて有効な場合におすすめの対策となります。


トラブルを避けるために

遺留分対策は、相続対策だけではなく、家族関係や感情的な要素にも関わる課題です。
そのため税理士や宅建士、不動産業者など複数の専門家と連携して、資産全体のバランスを考えた対策を講じることが大切です。

不動産という資産は、資産価値が高い一方で分割が難しく、相続人同士の関係をこじらせる要因になりがちです。

遺留分を理解し、適切な備えを行っておくことは、残されるご家族への「思いやり」でもあります。
思った時が始める時です。早め早めの不動産相続対策が大切といえそうです。

<用語集>

自筆証書遺言 生命保険 死亡保険金の非課税枠 遺留分 不動産小口化商品

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