不動産投資のタイプ別「成功法」

「不動産投資に興味はあるけど、よくわからないしちょっと怖い」という方は多いのではないでしょうか。
近年、10万円以下の少額から始められる不動産商品も登場し、不動産投資は資産形成の手段としても注目されています。
今回は、少額から始める商品を中心に不動産投資の方法とそれぞれの違いをわかりやすく解説し、投資のタイプ別の「成功法」について考えます。

不動産投資の3つのタイプ
不動産投資にはさまざまな方法がありますが、
今回は現物不動産投資、不動産小口化商品、不動産投資信託(REIT)の3つのタイプ別に解説します。
タイプ① 現物の不動産投資
マンションやアパートを部屋ごとに購入したり、1棟丸ごとや戸建て住宅などを購入したりと、不動産を直接買い取って所有者になり、賃貸経営を行うタイプです。
賃貸経営時の賃料収入(インカムゲイン)と、不動産売却時の売却益(キャプタルゲイン)で収益を得ます。
減価償却費を経費として計上することで、節税の効果を期待することもできます。
◼️メリット
・安定した賃料収入
賃貸経営をうまく運用できれば、長期的に安定した収入が得られます。
・資産価値
不動産自体を資産として保有するので、将来売却する際に売却益が期待できます。
・節税効果への期待
大きな減価償却費を計上することができる場合、給与所得など他の所得と通算した際に、
所得控除額を大きくすることで、所得税や住民税を節税できる可能性があります。
また相続税の評価額を低くすることで、相続税を軽減する効果も期待できます。
◼️デメリット
・初期費用の負担
不動産を直接購入するので、大きな資金が必要となります。
多くの場合、不動産担保ローンなどの借り入れに頼ることになります。
また、取得税や手数料、登記料などの諸費用も負担します。
・維持管理の手間
賃貸経営をする立場となるので、建物の修繕や管理、さらにはクレーム対応などが必要となります。
多くの場合は管理業者に委託することが考えられますが、委託料が必要です。
また空室時に収入が減るリスクや、新たな賃借人を探す手間もかかります。
・売却のタイミング
売りたい時にすぐ売れるかどうかというリスクがあります。
一般的には売却までに相応の期間が必要となります。
●向いている人
・安定した収入(給与収入など)があり、ローンを組むことが可能など資金が用意できる人
・長期でじっくり資産形成したい人
・賃貸経営にも関心があり、維持管理の労力(または業務委託料)をいとわない人
・相続対策として不動産を活用したい人
タイプ② 不動産小口化商品
複数の投資家が不動産を共同所有する仕組みです。1口数万円〜数十万円の少額投資が可能です。
インターネットから参加するクラウドファンディング型もあります。
現物不動産投資と同じく賃料収入や売却益を、出資の割合に応じて配当として得ます。
さまざまな仕組みがあります。→詳しくはこちらのコラム記事「『不動産小口化商品』の相続リスク」
◼️メリット
・少額で投資できる
1口数十万円から投資が可能です。中には1口数万円という商品もあるようです。
・手間がかからない
賃貸運営や維持管理は事業会社が行うので、投資家の手間はかかりません。
・プロの目線で投資
対象となる不動産は事業会社がプロの目線で選んだ物件です。
個人では投資が困難な大型マンションや商業施設などをプロが収益面から厳選します。
◼️デメリット
・元本が保証されない
他の多くの金融商品にも言えることですが、元本は保証されません。
不動産市況によっては対象不動産の価格が下落し、売却時に損失を被る可能性があります。
・融資が利用できない
不動産小口化商品は融資を利用することができません。
全額を自己資金で用意する必要があります。
・利回りが低くなる
現物の不動産投資に比べて利回りが低くなるとされています。
管理や運用の手間がかからない分、それらを事業会社が行います。その費用が差し引かれるため利回りが低くなってしまいます。
・思いどおりに売買できない
十分な供給があるとは言えないため、買いたくても買えないケースがあります。
一方、売却も思うようにいかないことがあります。
商品によっては途中解約ができないものがありますし、途中解約ができる場合でも十分な流通市場があるとはいえないので、買い手がなかなか見つからないことがあります。
●向いている人
・不動産投資に興味はあって、まずはトライしてみたい入門者
・忙しくて不動産運用に時間をかけられない人
・相続対策として不動産を活用したい人
タイプ③ 不動産投資信託(REIT)
投資家から集めた資金で不動産を運用し、その収益を投資家に分配する金融商品です。
賃貸収入や売却益から運用会社の費用を差し引いた収益が分配されます。
REIT(リート、Real Estate Investment Trust、不動産投資信託)はアメリカで生まれました。
日本版REITのことを「J-REIT(ジェイリート)と呼ぶこともあります。
不動産に投資する投資信託なので、証券取引所に上場していて、株式と同じように売買することができます。
オフィスビルや商業施設、住居など投資する不動産を特定の用途に限った商品や、複数の用途に分散して投資する商品があります。
◼️メリット
・少額から投資できる
数万円から投資することができます。
・流動性が高い
金融商品として証券取引所に上場しています。いつでも売買することができます。
現物の不動産では売却するまでに時間がかかることがありますが、REITは売りたいタイミングで売ることができます。
・分散投資しやすい
一つの不動産ではなく、複数の不動産に分散して投資することもできるので、リスクの分散にもつながります。
また、間接的な不動産への投資となり、運用自体はプロに任せることになります。
◼️デメリット
・価格が変動しやすい
証券市場の市況で価格が上下するのはもちろん、運用会社の業績にも影響されます。
また金利や景気動向などにも反応して価格が動きます。価格変動が比較的大きいとされています。
・不動産を所有しない
金融商品なので、不動産の所有権はありません。
現物不動産投資や不動産小口化商品のような、減価償却費などの費用を計上して所得税負担を軽減する効果や、相続税の節税効果はありません。
・元本が保証されない
REITも元本が保証されない金融商品です。また運用次第で十分な分配金を得られないこともあります。
また運用会社の手数料など運用コストも比較的高いとされています。
●向いている人
・株式投資に慣れている人
・分散投資の一つとして活用したい人
・流動性の高さを重視する人
まとめ
3つのタイプの特徴をまとめてみます。

不動産投資は自分に合った投資タイプを見つけることが「成功」への第一歩となります。
また、自分が投資できる金額の範囲を見極め、その範囲内で無理せずに投資をすることが大切です。
不動産投資のタイプごとのメリットやデメリットを把握し、リスクを十分に認識したうえで、
資産運用の中で活用していきましょう。
