なぜ戸籍謄本は相続手続きで必要なのか

相続手続きでは金融機関の窓口や相続税の申告など、さまざまな場面で戸籍謄本が必要となります。
なぜ戸籍謄本が必要なのでしょうか。

戸籍謄本が必要な3つの理由
主に次の3つの理由から、相続手続きで戸籍謄本は必要となります。
相続人の確認
相続手続きでは、亡くなった人の財産を誰が引き継ぐのか、つまり誰が相続人になるのかを明確にすることが第1歩となります。
相続人となる人は民法で定められています。そのルールに従って相続人を確定するためには、亡くなった人の身分関係をすべて明らかにして確認する必要があります。
そのため亡くなった人の出生から死亡までを記録した法的な書類として戸籍謄本が必要となります。
戸籍謄本を確認することで、隠れた相続人がいないかをチェックし、相続人となる資格を持つ人を明らかにします。
そのなかから相続欠格の人や相続放棄の人を除いて、相続人が確定します。
遺産分割協議
遺産の分け方について遺産分割協議を行うことになった場合は、相続人全員が参加する必要があります。話し合いがまとまり、遺産分割協議書を作成する際に、相続人全員の署名押印が必要となります。
遺産分割協議の後で「実は相続人が他にもいた」と判明した場合、その協議は無効となる可能性があります。
遺産分割協議を法的に有効なものとするためには、戸籍謄本で相続人がすべて参加していることを確認する必要があります。
事務や税務の手続き
相続税の申告や、金融機関での名義変更や現金の払い戻し、不動産登記の変更など相続に関するさまざまな手続きで戸籍謄本は必要です。
これらの手続きでも相続人であることを証明するために戸籍謄本が必須となります。
戸籍謄本取得のポイント
戸籍謄本の取得についてのポイントです。
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍が必要となるので、古い戸籍(改製原戸籍や除籍謄本)も集めます。
戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得します。窓口で申請して取得するほか、郵送で請求することもできます。一部の自治体ではオンラインでの申請も可能です。いずれも数百円の手数料がかかります。
亡くなった人が転籍している場合、転籍前の本籍地もさかのぼって戸籍を取得します。
古い戸籍の取得には時間がかかる場合もあるので注意しましょう。
取得が難しい場合、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することもできます。
手数料はかかりますがスムーズに進められます。
手続きを円滑に進めるために
戸籍謄本は相続人を確定するために必要なものです。また戸籍謄本がないと遺産分割協議や相続税の申告など相続のさまざまな手続きが進められません。
相続が発生した際には、早めに戸籍謄本を取得してスムーズな手続きを目指しましょう。
<用語>
戸籍 本籍(地) 戸籍謄本 戸籍抄本 改製原戸籍 除籍謄本 転籍
